全体像・ステークホルダー・データの流れ

令和8年度 千葉県地域医療提供体制データ分析チーム構築支援事業 / 県職員向け分析ツールの位置づけ整理(確定構成)

1最終イメージ(このツールが目指すもの)

千葉大学の分析環境が生み出す「集計結果」を、県職員がブラウザでログインし、指標・地域・年度・テーマを掛け合わせて閲覧し、 地域差・受療動向・資源配置などの「分布」を客観的に把握して、 地域医療構想調整会議や病院との協議の共通資料とする——記述に徹した可視化ツールです。
解釈と政策判断は人(分析チーム・県)が担い、ツールはそれを支えます。 Node.js+ExpressのサーバがID/パスワード認証・セッションと管理画面を担い、閲覧用の静的SPAとデータパックを同じサーバからHTTPSで配信します(設置先は庁内の統合サーバが第一候補。Node.jsを実行できない場合のみ国内リージョンのクラウド。どちらでも構成・画面・運用手順は同一です)。
ツールの役割は「見せる」分布・地図・比較を分かりやすく提示。統計分析そのものは上流(分析チーム)が担当。
判断は「人」が行う良否の評価・示唆・結論はツールが自動生成せず、利用者が読み取り・記入する。
会議で使える共通資料同じ画面・同じ定義を関係者で共有し、印刷・PDFで会議や1対1に持ち出せる。
職員はブラウザでログインアプリ自身のログインフォームにID/パスワードを入力。Edgeで閲覧でき、端末への追加インストールは不要。
県担当者は管理画面で年1回更新受け取ったzipをアップロード→再検証→適用。サーバ操作は不要で、1クリックで旧版に戻せる。
分析班はデータパックを発行秘匿処理済みの集計値だけを、検証ツールでエラー0を確認した版数付きzipで受け渡す。個票は渡さない。

2ステークホルダーと役割 ― 「誰が判断するのか」

データ提供元各病院(DPC)・国・県保有・公開データ
分析チーム(千葉大)個票を集計・秘匿処理し、データパックを発行
県担当者管理画面からパックを適用・アカウントを管理
可視化ツール設置サーバのWebアプリ。分布・地図・表で表示
県職員・各課・調整会議現状把握し、政策を判断
情報システム課設置先・HTTPSを提供し運用を承認(土台)
主体主な役割判断への関与
データ提供元各病院・国・県・公開データ DPCデータ(個票)、施設別実績、病床機能報告、救急搬送、将来推計人口、境界データ 等を提供。 提供のみ
分析チーム(千葉大 企画情報部)土井・三村 ほか セキュア環境で個票を集計・秘匿処理し、データパック(軸マスタ・指標カタログ・年度別の集計値CSV・地図データ)を作成。検証ツールでエラー0を確認して版数付きzipを発行。集計軸・定義・注記を設計し、分析上の解釈の下書きも担う。 分析面の判断
県担当者健康福祉政策課 受け取ったパックを管理画面からアップロード → 適用前の再検証 → 版数・変更点を確認 → 適用(版数履歴から1クリックで旧版に戻せる)。職員アカウントの管理(一覧・新規登録・パスワード再発行・ID削除・区分)も同じ画面で行う。作業は年1回・1人・数分で、サーバ操作は不要。パックの中身は編集しない。 運用の実行(データは編集しない)
可視化ツール設置サーバのWebアプリ Node.js+ExpressがID/パスワード認証・セッション・管理画面を担い、閲覧用の静的SPAとデータパックを同じサーバからHTTPS配信。SPAは集計結果+境界データを読み込み、分布・地図・クロス集計を記述的に表示(描画・集計はブラウザ内)。絞り込み・印刷/PDF・CSV/画像出力。 判断しない(表示のみ)
県職員(利用者)20名以上・同時アクセスあり Edgeでログインし、指標を選ぶ → 使える見せ方が自動で切り替わる → 条件で絞り込む → 図と表を切り替えるという流れで分布を読む。お気に入り・所見メモは端末ローカル保存(サーバには送らない)。 閲覧・作図
情報システム課設備管理班 庁内のセキュリティ・ネットワーク・端末の制約を提示し、設置先とHTTPSを提供して運用を許可(統合サーバでNode.jsを実行できるかの確認を含む)。 導入面の判断
県 各担当課・調整会議健康福祉政策課/疾病対策課/医療整備課/高齢者福祉課/各保健所 ツールで現状を把握し、会議・協議で政策を判断(機能の集約化・連携・資源配置の方向づけ)。 政策判断(最終)
要点:地図に表示される「示唆」をツールが自動で決めることはありません。ツールは分布を表示するだけで、それをどう読むか(示唆・評価)は分析チームや県のご担当者が判断します。これは分析項目でも示された「レセ由来のため治療選択の背景要因は追えず、記述的分析に留める」という方針と一致します。 あわせて、県担当者が扱うのは「どの版のデータを適用するか」であって、パックの中身を編集する作業はありません(中身の正しさは分析班の検証ツールで発行前に担保し、適用前に管理画面でも再検証します)。

3データの流れ ― 個票から、職員のブラウザに地図が出るまで

① 元データ(個票など)
  • DPCデータ(患者単位の個票)
  • 国・県保有・公開データ(病床機能報告・救急搬送・将来推計人口 等)
※個票は千葉大のセキュア環境内で扱い、ツールには渡しません。
② 集計・秘匿処理(分析班)
  • 集計軸・定義・注記を決めて集計
  • 少人数のセルは値を空欄にし、同じ行の suppressed に 1 を立てる
  • 閾値未満の実数値はパックに入れない(秘匿は発行前に完結
③ データパック(年度別ファイル)
master/ axes.csv(軸マスタ)・datasets.csv(指標カタログ)
values/ {指標}/{年度}.csv geo/ {地域軸}.topojson manifest.json
regioncanceragevaluesuppressed
tokatsu_sallall61.0
kaisolung851
→ values/surg_rate/2024.csv。年度はファイル名で表現し、行に year 列は持たない。年度更新は新年度ファイルを追加するだけ(確定した過去年度は変更しない)。
④ 検証ツール(発行前)
  • 列規約・コード整合・地図結合・一意性・秘匿・数値規約・manifest・版間差分を機械チェック
  • エラーがあれば発行できない(版数付きzipと manifest を自動生成)
→ 県庁に渡る時点で「開いたら表示が壊れる」データを構造的に排除。
⑤ 搬入 → 管理画面から適用(県担当者)
  • ファイル転送サービスで搬入(予備:物理メディア)
  • 管理画面にzipをアップロード → 適用前の再検証 → 版数・変更点を確認 → 「適用」
  • 1人の作業で全員に反映。履歴から1クリックで旧版に戻せる
⑥ 職員のブラウザ(画面表示)
  • ログイン後、manifest→master を読んで指標リスト・絞り込みを動的生成(values は選択時に取得)
  • 公開の境界データ(国土数値情報由来のTopoJSON)と regionコードで結合
  • 色分け地図・受療動向の矢印・ランキング・スコアカードとして描画
「詳細に見える」理由:地図の細かさは、分析データではなく公開の境界データ(無料)を地域コードで結び付けているためです。 ツール側の計算は割合や合計といった単純な算術で、統計分析(集計・秘匿・定義づけ)は上流の分析チームが担います。 したがって、検証済みのデータパックと公開境界データがあれば、この水準の表示は現実的に実現できます
この流れの利点は、新しい指標・新しい地域分け・年度更新が、いずれもデータの追加だけで画面に反映されることです(アプリ改修は不要)。列の決め方や検証ルールの正式な仕様はデータパック仕様書(分析班向け)に、適用の画面は管理アプリ設計案にあります。

4ツールが「すること」/「しないこと」

すること(表示・記述)
  • 集計結果を地図・グラフ・表として分かりやすく表示(使える見せ方は指標のデータ型から自動判定
  • 地域の粒度・年度・がん種・年齢層などでの絞り込みと、2指標の掛け合わせ
  • 分布の記述(範囲・順位・構成比などの事実)と、図と表の切り替え
  • 会議・1対1向けの印刷/PDF出力、CSV・PNG・SVGの保存
  • データの版数・発行日の表示(いま何年度版を見ているかが分かる)
しないこと(判断は人が行う)
  • 良否・要否の評価(「この地域は問題」等の判定)
  • 政策的な示唆・提言・結論の自動生成
  • 背景要因(重症度・患者意思など)の推測
  • 個票の保持・個人の特定につながる表示(秘匿は分析側で完結し、ツールは秘匿セルを「表示なし」と示すだけ)
  • 利用者の作業状態(お気に入り・所見メモ)のサーバ保存(端末ローカルに保持)
「示唆」や「所見」は、ツールが出すのではなく、利用者が画面上のメモ欄に記入する想定です。メモは表示条件とセットで「お気に入り」に保存でき、保存先はその端末のブラウザです。これにより、判断の責任と根拠が人側に明確に残ります。